
オールイングリッシュの落とし穴

小学生のクラスでちょっとショックなことがありました。
うちの学校の授業は基本的にオールイングリッシュです。
新学期初日、5~6年生のクラスで、「Do you have any brothers or sisters?」と聞きましたが、5人とも困惑顔。今年初めて入ってきた子たちだけでなく、低学年から習っている子たちもいました。そこで「Do you know brothers?」と聞いたり、boyなどほかのヒントを出しても、全然ダメ。仕方がないので日本語で「brotherって知ってる?」と聞くと、首を横に振る…え~!こんな基本的な単語も知らないなんて、今まで何を勉強してきたの~?とかなりショックでした。
別の授業では、considerate[kənsídərət 発音注意!](形容詞:思いやりのある)のカードを子供は「荷物を運ぶ」という意味だと思ったようです。おばあちゃんの荷物を運んであげているイラストだったからです。イラストだけの理解では結構誤解していることがあるようです。
オールイングリッシュで教えることが良い、と信じてきました。英語脳を作るには日本語は完全に排除したほうが良いのだと。
特に子供は状況を判断して意味を理解する能力に長けているし、英単語1つに日本語1つではカバーしきれないから、英語だけで意味をつかんでもらえるように、と。
ネイティブだったら24時間、英語に囲まれて、様々な状況でその単語を聞くのでニュアンスもわかってくるでしょう。でも、日本語で生活していて、週に1~2時間、レッスンでしか英語に触れないのであればニュアンスをつかむほどの文章に出会うことはできません。
言語を教える研究にも、紆余曲折があり、英語教授法にも流行り廃りがあると知りました。
最新の子供用のテキストは「英語で」科学や社会について学ぶ流れがきています。私が最初にテキストを見たときに感じたのは「アメリカの小学生の教科書みたいだな。ネイティブには良いと思うけど、これから英語を学ぶ子たちは、これでわかるのかな…」と。実際ちょっと難しいようです。
誤解してほしくないのでお伝えしますが、私が担当した6年生で英検準二級に受かった子もいますので、オールイングリッシュがダメというわけではありません。テキストの巻末にはきちんと日本語訳もあるので、確認していれば問題ないと思います。
ただ全員が家で意味を確認してくれるわけではないので、私が個人で教える場合は、まず意味を確認し、そのあと英語オンリーでレッスンをします。そのほうが効率的だと思います。
一度、意味の確認をしないで、レッスンした時は、後から子供に「何言っているかわからなかった」と言われましたので、肝に銘じています。
重要なことは
「意味の分からない単語や文が言えるようになっても役に立たない」
です。言葉というのは、自分の考えを伝えるため、相手の考えを理解するため、にあるのですから。
もしオールイングリッシュの英語教室にお子さんを通わせている親御さんがいらっしゃいましたら、少しだけお手伝いしてあげてください。
また、高校生や大人の生徒さんでも、レッスンのために、一生懸命練習して上手に言えるようになった文章の意味が分かっていない、という人が結構います。もったいない!!
きちんと意味を確認してから音読の練習をしましょう!
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